※字幕、音声付きです。字幕はYouTube内の設定(歯車マーク)よりONにして表示させてください(下図参照)。

1.はじめに

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から3年以上が経過しました。コロナ禍といわれた社会状況は、私たちの生活や行動、人とのかかわりを大きく変化させました。全国聴覚言語障害者福祉研究交流集会もその影響からオンラインでの開催を余儀なくされました。また、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なインフレなどを背景にした物価高騰による生活困窮者層への支援の拡充、深刻化する孤独・孤立問題への対応等、福祉ニーズは複雑・多様化しています。さらに、福祉の担い手不足による、福祉・介護サービスの量と質の確保は喫緊の課題となっています。
 2024年度は、医療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の「トリプル改定」の年となります。国では持続可能で質の高いサービスの実現のため議論が進められていますが、報酬そのものの見直しだけではなく、情報・コミュニケーションが保障された「きこえない・きこえにくい人」が安心して暮らせる社会を作っていくための方策を訴えていく必要があります。

2.開催の経過

 全聴福研の出発点は、1984年に京都で開催された全国手話通訳問題研究集会での「いこいの村特別講座」です。その後、「いこいの村研究交流集会」-重度重複の聴覚言語障害者の発達と権利を考える集会-として第1回が開催され、平成9年に全国的な取り組みへの発展を目指して集会名称を「全国聴覚言語障害者福祉研究交流集会」に変更し、京都、大阪、埼玉、東京、兵庫の法人での持ち回りで今日まで開催されてきました。
 埼玉での開催も今回で7回目になり、本集会では、滋賀県聴覚障害者福祉協会ならびに千葉県聴覚障害者協会にも協力団体として加わっていただきました。

3.本集会の特徴

 本集会には、全国24都道府県から361名、埼玉県外からは179名の方に参加していただきました(11月16日現在)。レポートは27本と多くの実践報告がなされる予定です。
 記念講演では、特定非営利活動法人日本障害者協議会代表の藤井克徳氏に「障害者権利条約と日本の障害者政策の近未来」をテーマに障害者権利条約と総括所見から私たち自身に求められること、今後の展望について講演していただきます。
 また、特別報告として、一般財団法人全日本ろうあ連盟の大竹浩司氏に強制不妊手術をめぐる国家賠償訴訟や大阪府立生野聴覚支援学校の生徒が被害に遭った交通事故をめぐる民事裁判の現状について報告していただきます。
 入門講座では、当事者団体や家族等で協同した事業所(拠点)の実践報告に加え、難聴者支援の実践の報告から地域での拠点づくりを考える機会とします。

4.おわりに

 急速に進むICTの拡大により数年でさまざまなサービスや公共インフラが整備されました。法律の整備も進んでいる一方で、支援実践の現場ではたくさんの困難事例が散見されています。困難を一人で抱えるのではなく、多くの仲間と団結し支えあい、新しい仲間を呼び込むためにもこの集会は大きな役割をもちます。2日間にわたり開催される集会において、地域から持ち寄った福祉実践を以下の柱を基に研究、交流を深めていただきたく願います。

① 事業所における、利用者の発達や権利保障についての専門的な支援・実践を持ち寄り、前進させる。
② 各地で取り組んでいる当事者の暮らしと権利を保障するための新たな事業展開についての交流。
③ 現在の制度における問題の提起と福祉予算の確保を目指す。

 実践交流を通して、各地域や団体また個々の福祉実践の到達点を確認し合い、論議を深め、制度改革も見据えた次の実践、運動、事業を展開していくためのエネルギーを蓄える場にしていただきたく思います。最後に、本集会を通じ、たくさんの仲間を増やし、楽しく、有意義な交流の場ができますことを願います。